Q & A 権利処理に関する質問
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複製

質問リスト

社内使用目的での書籍の複製について

市販の書籍の一部をコピーし、社内会議用の参考資料として出席者数名に配付しようと考えております。著作権法上の問題はありますか。

質問者:匿名希望
著作物の複製(私的使用と社内使用)について

まずは事務局よりお答えします。弊社がご相談している弁護士の先生にもご確認いただきました。

■複製権 (著作権法21条)
著作権のある書籍(著作物)を著作権者の許諾を得ず、複製(コピー)することは、複製権の侵害になります。複製し利用するためには、著作権者から許諾を得なければなりません。

■私的使用目的の複製 (著作権法30条1項)
一方、著作権法には一定の条件を満たす場合に限り、著作権者の権利を制限して著作権者に許諾を得ることなく、著作物を利用することができるとする規定があります。
今回の社内における複製のように、社内の少人数で行う会議などは、著作権法30条1項の「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」における使用に含まれ、私的使用目的の複製のため問題ないのではと考えられるかもしれません。
この点、裁判例では、「企業その他の団体において、内部的に業務上利用するために著作物を複製する行為は、その目的が個人的な使用にあるとはいえず、かつ家庭内に準ずる限られた範囲内における使用にあるとはいえないから、同条所定の私的使用には該当しないと解するのが相当である」として、企業内での内部的利用のための複製は、「私的使用目的の複製」には該当しないと判示し、以降、通説的な見解となっているようです。
したがって、社内会議用の参考資料として使用するために、市販の書籍を複製(コピー)することは、「私的使用目的の複製」に該当せず、著作権者の権利は制限されないため、複製権の侵害になりえると考えられます。

■企業内での複製が可能な場合について
日本複写権センターや出版者著作権管理機構(JCOPY)は、著作権者の持つ著作権のうち、複写(複製)等にかかる権利行使の委託を受け、企業内の複写行為について包括契約などで許諾する業務を請け負っております。これらの団体と契約し、管理著作物を社内で複製する場合は、団体を通じて権利者へ使用料が支払われるため問題ありません。ただし、団体が管理していない著作物ついては、個別に著作権者から許諾を得る必要があります。

【参考法令(著作権法)】
・複製権(21条)
・私的使用目的の複製 (30条1項)

【参考 裁判例】
 「舞台装置設計図事件」
昭和52年7月22日 東京地方裁判所(事件番号:昭和48(ワ)2198)

回答者:事務局(2012.05.11)
弁護士の先生からのアドバイス

今回ご相談した弁護士の先生に、「<法律に違反しないで現場でできる方法>のようなものはないですか?」とお聞きしてみました。

■ポイント:重要なことは、著作権の基本的な考えを身につけること
なまじ知識があると、とかく安易に、かつおもしろがって危ない方を選びかねないという不安もありがちですので、原則をしっかり分かってからの応用力ないし知恵として開示されるのがいいと思います。
とくに、著作権の制限規定よりさらに法の制約を受けない手法などというのは限りなく権利侵害に近づきますので、特に注意が必要です。特に倫理感の涵養という点も著作権法では大切です。

 ということを前提にしたうえで申し上げますと、
 「参考文献は●の●頁以下にあるのでよく読んでおくように」と告知し、それを受けた社員が各自のために自身で複製することは、私的複製に入るでしょうね。
 しかし、「参考文献は●の●頁以下にあるので各自で複製してくるように」となると微妙です。
 その分かれ目がどこにあるかを探究したり(結構意見が分かれます)に習熟することよりも、原則に習熟することがまずは大事ですね。

権利処理実務の日常で発生する、素朴なギモンをお寄せ下さい。専門の先生による回答をいただき次第、ご質問と回答を掲載します。ただし、趣旨にそぐわないご質問と当会が判断した場合には、回答・掲載をしかねる場合がございます。どうぞご了承ください。